裏切りの少年
37. 拘束
―――作戦時刻
俺は配置に着いた。

周囲を見渡すと、遠くに誘導部隊『A2』の奴らが間隔を空けて待機している。

『B2M2』のある場所を見ると、人影が見える。

相棒だろう。

俺は右手に持った拘束具を握り締め、標的が来るのを待った。


『『A4』より各位へ。
定時になった。
これより作戦を開始する』


相棒が指示を出した。


『『A1-1』了解』


隊員が返事を返した。


しばらくして、遠くの方で爆撃音が聞こえた。
標的がいる場所はここから2Km離れた場所だ。
『A1』は3人いる。
彼らが交代で作戦ポイントまで誘導する。
この時、『交代』とは作戦を引き継ぐことであり、走る方向は変えない。
つまり、力尽きた者から標的の餌食となる。


『『A1-1』より『A4』へ
標的に接触………
作戦ポイントまで誘導する』


走りながら、連絡をしているのだろう。
通信機に雑音が入っている。


『『A4』より各位へ。作戦1に入った。
『A2』は指示があるまで待機せよ』

『了解』


一人が返事を返した。


『『A1-2』より『A4』へ。
標的を確認した。
これより標的を攻撃する』


連絡を終えると、同時に遠くの方で爆撃音が辺りに響いた。
今度は近い。
標的がここまで来ているのだろう。
作戦開始から1分弱。
予想したよりも早い。


「『A3』より『A4』へ。
そこから標的を確認できるか」


俺は相棒に聞いた。




相棒の能力は『感覚系』の『粒子観測』
視界で粒子の流れを観測する能力だ。
8年前、俺と『ジョーカー』が戦った際に、奴は爆発させた。
その爆発の影響を受けなかったのは、この能力があったからだ。
人間の視界で粒子を観測する。
そんな能力者など世界にはほとんど確認されない。

『イレギュラー』な能力だ。

俺が『G』隠密部隊として相棒と組んでいる時に気づいたことがある。
相棒は『イレギュラー』な能力を持ち、生まれ変わる特異体質の持ち主だ。
そのため、戦闘には不向き能力者であり、接近戦には向かない。
よって、後方で活動する遠距離タイプに就いていた。
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