裏切りの少年
『『A4』より『A3』へ。
標的の姿は確認できない。
だが、標的の粒子はこちらに近づいている』

「了解」

俺は作戦が順調に進んでいるのかを確認した。


『『A1-3』より『A4』へ。
標的を確認した。
これより、作戦を開始する』


最後の『A1』誘導隊員が相棒に連絡を入れた。


『了解』


相棒は返事をした。


『『A4』より『A2』へ。
指示があるまで攻撃するな』

『了解』

『『A4』より『A3』へ。
拘束具の使用は『A3』で決めろ』

「了解」


俺は返事を返した。




標的が作戦ポイントに入れば、相棒を含め、誘導隊員は標的に専念しなければならない。
また、標的に拘束具を悟られるわけにはいかない。
相棒は俺の独断で拘束具を標的に付けろと指示した。
俺は誘導部隊が現れるのを待った。
作戦開始から3分。
ついに、標的の姿を確認した。


俺の視界が『A1-3』と標的を確認した。
次の瞬間、視界から消えた。


『『A2』攻撃開始』


相棒が大声で連絡した。
俺は再度辺りを確認すると、『A1-3』は作戦ポイントの辺りを走り回っていた。
戦うというよりは逃げているに等しいだろう。
このとき、初めて標的となる、バケモノを見ることが出来た。




映像では何度でも見たバケモノだ。身長から考えてまだ10歳にも満たない子供だろう。
だが、そんな姿をしているのに、なんだろう。

この圧力は………

子供が作戦ポイントに来てから、周囲の空気が変わった。
まるで、空気に棘があるように感じる。
バケモノは『A1-3』を追いかけている。
まるで、野生の猛獣が獲物を捕えるようにも見える。

『破壊衝動』か………

確かに、能力は制御できているようだが、精神面では制御できていないようだ。
自分の力に踊らされているようだ。
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