裏切りの少年
40. 問題
「神山博士か………」


アイドは頭を掻いた。


「ああ。
俺が神山博士と出会った時、『無能者』用の『キャンセラー』しか開発していなかった。
でも、俺が死んでから、あの人は戦闘用の『キャンセラー』を作った。
そのおかげで、当初予定していた『計画』が大きくズレた」

「『計画』か………
俺から見れば、君の『計画』には狂いがなかったと思うけど」

「実際にはある程度、『計画』を修正したにすぎない。
『W』五代目総長の殺害やアカネを『女王』にする予定。
それに、『ヘブン』国内での変革………
多少『計画』を修正したが、結果として計画通りになった」


アイドは黙った。
何かを考えているのだろう。


「どうして、『W』五代目総長を殺さなかったの。
邪魔なら殺せばよかったのに………
君の知っている弱点を突けば簡単に殺せたんでしょ」


アイドの行っていることは正論だ。


「殺すチャンスは何度もあった。
『C』で活動してから、初めて『W』五代目総長と出会った時、俺は奴の弱点………
つまり、能力発動前に『電撃』能力で攻撃した」

「発動前………
それが『W』五代目総長の弱点なの」


アイドは驚いた顔をしていた。


「ああ。
『能力者』なら誰もが持つ弱点だ。
奴の『能力』がいくら『肉体変換』、あの人の場合は『強化』と言っているが………
特赦な能力を持っていても、能力発動前なら『ただの人間』だ。
誰でも倒せる。俺は『能力発動前』に攻撃をした。
だが、あの人のもつ『キャンセラー』………
『GDS-00改:VERSION=GLOVE』で防がれた。
………俺に付けられた傷を根に持っているらしいな」

「ん………どういうこと」


アイドは聞いてきた。


「いや。こっちの話だ。
その後だ。
俺が『W』五代目総長を殺せなかったことで『計画』はズレ始めた。
メンバーの二人は辞めるし………
『R』は『くだらない計画』を実行するし………
おかげで、俺自身で修正することになった。
俺はあの人と交渉した。
そして、賭けをした。
『神山ミコト』が世界を滅ぼすか滅ぼさないか………」

「君はどっちに賭けるたの………」
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