裏切りの少年
『ホークよりウルフへ。
標的が来た。
予定通り、射撃する』

「ウルフ了解」


相棒の連絡を聞き、俺はビルの影から標的の乗る車を待った。


『これより作戦を開始する』


バンッ………


静かな町に銃声音が響いた。

車の滑る音が聞こえた。

相棒の撃った弾が車のタイヤを射抜いたのだろう。


『タイヤを撃った』


相棒はライフルの達人だ。


狙った獲物は必ず射抜くことができる。

車から二人の男が出て来た。

標的の護衛だろう。


『射殺する』


俺の返事も聞かずに相棒は護衛を撃ったが………

男達には効いていない。

護衛の奴らはビルの屋上を眺めていた。

相棒の居場所がばれたのだろう。


「ウルフよりホークへ。
今すぐそこから離れろ。
見つかってるぞ」

『ホーク了解。
参ったな。
奴ら『肉体強化系』だ。
相性が悪い』

「あとは俺がやる」


俺はビルの影から飛び出した。

護衛の一人が俺に気づいたのだろう。だが、遅い。

俺は『能力』を使った。

俺の着ている服が破れ、その後骨格と皮膚が変わっていく。

爪が生え、歯の一部が牙となる。

護衛の一人に近づいたときには完全な『狼』になった。




『肉体強化系』―『動物種』―『狼』
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