裏切りの少年
「そう言うな。
当時、俺が立てた『計画』は俺とホークの二人で作ったものだ。
ホークが作ったプログラムでシミュレーションしたが、PCでの予測は間違いが多くてな………
アカネに『将軍』の職に就いてもらうはずが、アカネ自身が駄々をこねたんだ。
実に面倒だった。
『くだらない計画』後、ミコトとナナミは『C』に戻って来てくれたんだ。
二人とも、『世界がおかしい』ことに気づいたらしくてな。
『C』が元に戻ったと思ったら、また1人辞めた………
だが、俺が困っているときにな。
初めて、ナナミの能力を知ったんだ。
そのおかげで、その後は『計画』を狂わずに今に至るわけだ」

「彼女か………」


アイドは小さい声で言った。


「………どうした」


俺はアイドに聞いた。


「彼女には悪いことをしたと思っている。………
でも、ああするしか、君達に伝えられなかったんだ」

「ああ。分かっている」

「すまないって伝えておいてくれないか。
向こうの世界に行ったら………」

「わかった」


俺は笑みを浮かべた。
アイドは遠くの方を見た。


「そろそろ、目的地に着くよ」

「ああ」

「着く前に一つだけ、聞いてもいい………」

「なんだ」

「神山博士って何者なの」


俺は少し考えてから答えた。


「あの人は『天才』だ」
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