裏切りの少年
「それで、私に聞きたいことってなんですか」


アユミはコーヒーをテーブルに置き、俺の方を見た。


「メールで、アユミさんは昔、『Infinite Information』を公園で貰った、と話していましたが、それは本当ですか」

「………はい。そうです」


アユミは思い出したように言った。


「そのことを少しお話してもらいたいと思い、御呼びしました」

「そうですか。
でも、子供の頃の記憶なので………
あいまいでも宜しいでしょうか」

俺は頷いた。
アユミはコーヒーを飲み、一息ついてから話し始めた。


「子供の頃の話です。
公園で遊んでいると、私と同じぐらいの子供達が一ヵ所に集まっていたんです。
私も気になり、行ってみると、紙芝居を読む男の人がいたんです。
私も子供達に加わり、紙芝居を見ました。
話が終わると、『続きはこの中にある』そう言って子供達にゲームソフトを渡しました。
それが『Infinite Information』です」


俺はノートにアユミが話した内容をメモした。


「それから、私はPCで貰ったゲームをやりました。
何日かして最後まで行ったけど、ボスがいなくて………
結局、ソフトは売りました。
丁度捨てたかった漫画やゲームソフトもあったので『Infinite Information』もついでに、と考えて………
そしたら、『Infinite Information』だけで4万円の金額になったんです。
私は驚いて、店員さんに聞いたんです。
『どうして、このソフトの値段がこんなにするの』と………
そしたら、店員が言ったんです。
『このソフトはどこにも売っていない貴重なソフトです』って………
私は店員に案内され、ガラスケースに並んでいるプレミア扱いされたゲームソフトの中で『Infinite Information』を見つけました。
その金額は10万円。
私は売ったことに後悔しました」


俺は何もいわずにひたすら、アユミの話をメモした。
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