裏切りの少年

「『圧縮』………」

「そう。
『圧縮』し過ぎて、少しでもプログラムを触れば崩れる。
まぁ、この世界を構築するメモリー、『物質名：ボール』と同じような物だ」

「メモリー………」


俺は『物質名：ボール』など聞いたことがない。


「知らないのか。
まぁ、無理もないか。
とにかく、大量のデータ―を圧縮したんだ。
あれを攻略するのは、相当な時間がかかる」


「どれぐらいだ」

「30年程かな………」

「………冗談だろ」


俺は金本に言った。


「情報収集能力を高めるために『真実と嘘』の情報を『Infinite Information』内に入れた。
つまり、『真実』だけの情報を信じれば早く攻略できる。
逆に、『嘘』だけの情報を信じれば一生終わらない」

「目安ってことか」

「そういうことだ。学んだ技術は世界に通用する。
つまり、やろうと思えば、軍施設だけでなく、国家機密や研究施設、企業サーバーといった情報も簡単に潜入できる。
だが、問題が一つある」

「本人のやる気か………」

「そのとおりだ。
ここだけは難しい点だ。
だから、『映像』に仮想世界のことを少し話すことで興味を持ってもらおうと考えた。
もっとも、君は『世界へのメッセージ』と勘違いしたようだが………」

「………それで『Xファイル』を探すわけか。
『W』内にある」

「そう。
世界を旅した『勇者』は、ある事に気づく。
そして、それは『W』にしか存在しない。
なぜなら、『G』はその存在を認めないからだ」

「それが『超越者』か」

「『G』はこのことを『バグ』だと考えている。
なぜなら、『G』は『超越者』を作らせないために『能力開発』をする技術者達を殺してきたからだ」

「はっ………」


俺は金本を見た。


「彼らにとっては『神』と同じように、自然に産まれたと考えているようだが………」


金本は井上博士に『超越者』の資料を渡した。
つまり、自然に生まれた存在ではない。


「『勇者』が『W』と接触し、『Infinite Information』と『超越者』の情報を話すことで『Xファイル』への扉が開く。
そして、世界を『選択』する」