裏切りの少年
「そう、うまくいくのか。
『G』は必ず活動する」


俺は金本に聞いた。
金本は笑みを浮かべながら、俺の方を見た。


「君は見たはずだ。
『超越者』の失敗作を………
そして、感じたはずだ。
その強さを………
私の理想とする『超越者』が誕生した場合、『超越者』を止めることは誰にもできない」

「それは必要な力か」

「『超越者』は『W』の『剣』となり、『勇者』の『盾』となる」

「そのために『超越者』を作ろうとしたのか………」

「………」

「どうした」俺は急に金本が黙り込んだので聞いた。

「いや、なんでもない」


金本はかぶっていた麦わら帽子を取り、両手で持った。


「さて、問題だ。
人間の魂はどこにあるんだろうな」

「なんだ。突然………」

「君は言った。
保存された人間は5億人。
この世界に生きる人々は約39億人だと。
つまり、仮想世界から現実世界へ戻れる人間は限られている」

「確かに、話を聞く限り、そうみたいだな」


俺は金本に返事を返した。


「もし、君が私に協力するなら、この問題の答えを『現実世界』へ戻るまでに見つけておいてくれ」


金本は麦わら帽子をかぶった。


「現在、『W』は私の理想通りに活動している。
『勇者』は『Infinite Information』の攻略者を待つしかない。
問題は『超越者』だ」

「どういうことだ」

「『W』五代目総長は『G』と戦ったことで、自分の存在を否定しているようだ。
過去に犯した罪は決して報えないものだと考えている。
『G』の戦闘隊員は死ねないというのにね。
だが、そのおかげで、自分と同じ存在を『W』内で作らせないようにしてるのかもしれない」

「つまり、第二、第三の『超越者』は『W』で作られないという意味か」

「そういうことだ。
私との約束が果たされたことと『W』五代目総長の存在で『超越者』の研究が遅れている」


金本はベンチから立ち上がり、俺の方を見た。
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