裏切りの少年
6. 報告
俺はすぐに秘書の盾になった。

誰が撃ったのかはわかっている。

俺の行動は『撃つな』を意味している。

俺は『狼』に変身すると服が全て破れてしまう。

そのため、通信機が手元にない。

俺の行動で相棒は撃つのを止めるだろう。




辻本が撃たれてから、次の射撃はない。

相棒は俺の行動を理解したようだ。

俺は秘書の方を見た。


「………」


秘書は俺の方を見ていた。


「お前はさっさと消えろ」


俺は女を逃がすことにした。

秘書は一度辻本の頭を触り撫でた。

何を考えているのかはわからない。

秘書は撫で終えた後、立ち上がりその場を離れた。

秘書が消えた後、俺もその場を離れた。




―――数分後

俺が離れている最中、町で爆発音が響いた。

相棒が死体の処理をしたのだろう。

俺達は死体を動かさない。

その場で燃やす。

燃やすというのは『焼く』意味ではない。

『爆破』する意味だ。

跡形もなく、死体を消すことで警察官の捜査を困難させる。

そんなことをしなくても『G』の情報操作で事件を揉み消すことは出来る。

ただの『保険』だ。
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