裏切りの少年

―――神山家別荘付近
俺は神山博士に仕事を依頼すると、前金10億を現金で支払うように言われた。
仕方なく、下山しようと思い、準備をしていると、スズミが俺に話しかけてきた。
どうやら、この別荘付近には地図に記載されていない道があるらしい。
目印は山の中に車が置いてあるとのことだ。
俺はスズミから車の鍵を借り、指定された場所まで向かった。


「あった」


俺が車を探すと、話していた通りに車があった。
また、人工的に作られた道が下まで続いていた。
俺はスズミから借りた鍵を使い、車のエンジンを掛けた。




―――町の銀行
俺は通信機で相棒に連絡を入れた。


「こちらウルフだ。ホークか」

『こちらホーク。どうした。
何か問題でも起きたか』　


俺が相棒に連絡を入れる時は資金か調べ物を手伝って貰う程度だ。
相棒の持つ『PC言語解析』は『G』にとっては貴重な存在なのだろう。


「金が必要になった。
10億だ。すぐに振り込んでくれ」


相棒には定期的にお金を貯金してもらっている。
そのため、金が必要な時に応じて下ろせる資金が通常よりも多い。


『了解。だが、何に使うんだ。
一般人のお前にとっては多すぎないか』

「賄賂的な物だ。
情報収集に大金が必要になった………
ただ、それだけだ」


通信機から相棒の笑い声が聞こえた。


『吐かせればいいのにな。
今までだったら、どんな手段でも何の迷いもなく実行するお前が………賄賂か。
丸くなったな』

「悪いか。
俺は『殺し屋』を辞めたんだ。
これからは『Correct：正しい』な生き方をしていくと決めてね」

『『Correct』か。
『Crazy：正気でない』の間違えじゃないか』

「何だっていい。
金はいつ頃、振り込める」


俺は相棒と冗談話を止めた。


『15分待て。
ハッキングして直接操作する方が早い。
10億だと手続きに時間がかかるからな』

「了解」


俺は笑みを浮かべながら答えた。
俺は通信を切り、時間が経つのを待った。