裏切りの少年
「それで、その磁石はできそうなんですか」

「今から研究するところだよ。
理論は出来た。
後は『ドライブシステム』で『選択の石』を変換させ、物質を一度分解させた後、再構築して基準値を満たせば」

「先生………
約束が違うじゃないですか」


俺は神山博士に言った。


「約束。『超越者』か。
でも『ドライブシステム』は一個しかないし」


神山博士は困った顔をした。
俺はため息をした後、神山博士に尋ねた。


「近隣『トラブル』解決と『キャンセラー』研究。
どっちを先にやりたいですか」

「研究」


神山博士は即答した。
また、俺はため息をした。


「スズミさん。
困っているんじゃないですか。
顔には出さないけど………
もしかしたら、面倒事に巻き込まれているのかもしれない。
先生が少し我慢すれば、スズミさんを笑顔にできる。
そうでしょ」

「でも。ここ山奥だし。人来ないし」

「だから………」


その後、俺は神山博士を説得し続けた。
ようやく、『超越者』研究の了承が取れた時には日が暮れていた。
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