裏切りの少年
「―――それがつい最近わかったことだ」


俺が話し終わると、相棒は頭を抱えた。


「何か不審な点があるなら言ってくれ」

「その神山博士が『超越者』という存在を作れる奴だとはわかった。
問題は『ケンイチ』という名前の奴だ。
俺は『W』でその名前に心当たりがある」

「誰だ」

「森下ケンイチ。
『W』五代目総長の右腕と言われている男だ」

「森下か………」


俺は森下という名前を聞いたことがある。
『バケモノ退治』でバケモノを止めることが出来る唯一の存在だ。
森下が神山博士に『キャンセラー』を依頼したのには納得ができる。
奴は『能力病』の治療法を探していた。
もし、神山博士が『キャンセラー』を作れば、『無能者』を含め、多くの人を助けられる。


「まずいな………」


『W』が神山博士と知り合いだということは、『超越者』の誕生が知られるのも時間の問題だ。
それに森下は『超越者』の扱いには慣れているはずだ。
右も左もわからない俺よりは適任と言える。


「お前は金本の手伝いをした。
もう、関わらない方がいい」


相棒が言った。


「『W』五代目総長が失敗作………
俺達は奴と戦い、殺された。
奴よりも更に上の存在と戦うなど俺達にとっては不可能なことだ」

「だが、誰かが3つの存在を繋げなければならない。
金本は『W』が世界に認められた時、計画が動くと話していた。
でも、今までの事を考えると、『W』が世界に認められる時期はない。
むしろ、『W』五代目総長が消えれば、『G』は『W』を壊滅させるだろう」

「なら、どうする」


相棒は俺を見つめた。
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