裏切りの少年
「大昔、人間の能力値を0~100までの基準値を作った。
それは今も変わらない。
そして、100の能力値は人間の体では不可能だ。
それはなぜか。
以前話した『第二種粒子永久機関』が問題だから。
それでは、どうやって『超越者』を作るか。
柴田さんならどうする」

「人間以外ですか」

「その通り。
つまり、器を変えればいい。
僕の『ドライブシステム』は『感覚系』『空間系』『具現化系』が可能な装置だ。
特に分解と再構築・それに物質変換はどの能力者よりも得意とする。
僕は『選択の石』と『人間の遺伝子』から『人間』を構築させた。
そのために、成長速度を促進させたけどね。
本来『回復系』は『ドライブシステム』には不適合だ。
それは制御が難しいからね。
でも、一定以下でなら、大丈夫。
そのおかげで、卵の状態まで変換できた」

「それで、『超越者』はいつ産まれるんですか」

「わからない。『超越者』は『選択の石』。
つまり、(―)粒子の生命体だ。
『人間の遺伝子』を入れたことで、(+)粒子も含まれているが、(―)粒子の方が割合は高い」

「それじゃあ、卵の中は………」

「今は『空っぽ』だよ。
でも、『超越者』が『生きたい』と『選択』すれば『夢』は叶う」

「どうしてですか」

「多才能力者の研究『リミッタ』を『超越者』研究に用いたからね。
『能力は一つ』だと『夢』は叶えられない。
全てを選択できるなら、『生きる』ことも、『成長』することも、それに『存在』することを『選択』できる」


神山博士は疲れたらしく、ソファーに座った。
俺は神山博士と向かい合うように座った。
そろそろ、本題に移ろうとした。
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