裏切りの少年
「神山博士。
しばらく、『超越者』を預かってもらえませんか。
その最終調整や誕生した後、もし産まれてくる子供に問題があった場合、先生しか助ける人がいない」


俺が神山博士に言った。


「養育費のために3億を用意しました。
神山博士が『超越者』研究の資金が欲しければ、それ以上のお金も用意します。
是非、ご検討をお願いします」


神山博士は首を回しながら、考えた。


「うん。
まぁ、前金が研究費だから、それ以上はいらないけど。
どうしようかな」


神山博士の首を回す速度が速くなった。


「いいよ」


回すのを止め、神山博士は答えた。


「ありがとうございます」

「でも条件がいくつかある」

「なんでしょう」


俺は神山博士を見た。


「一つ目が研究に使いたい。
例の『時空間の歪み』、つまり、第六の系統『時空』を研究したい。
大丈夫。
痛いことはしない。
ただ『できるのか』を確認するだけだから」

「はぁ………」


俺は頷いた。


「他には………」

「そうだな。あの子の名前を決めてよ。
『超越者』だと呼びにくい」

「………そうですね」


俺はソファーから立ち上がり、『ドライブシステム』の方へ寄った。
神山博士も俺の後に付いてきた。
『ドライブシステム』の中に入っている卵を見ると、卵は浮いていた。
きっと、装置が快適な環境を作っているのだろう。
この卵から生まれる子供は、これから大きな戦いをする。
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