裏切りの少年
56. 観点
「『粒子』の世界………」
「この世界のバランスは『勉学』と『才能』で成り立っている。
だが、『ドライブシステム』が世界に浸透すると、社会システムが変わる恐れがある。
それは独裁政治が民主政治になるように………」
「それは人間の持つ『才能』の価値がなくなるから………」
アイドが言うと、急に飛ぶ方向が変わった。
目的地に着くからだろう。
「ああ。
それは『勉学』を進めようとする者にとっては良いことのように思えるだろう。
だが、実際は逆だ。
この世界では使用できても、現実世界では存在しない技術となる。
つまり、使えない技術に頼ることなる」
「それは『才能』も同じじゃないか」
「いいや。『才能』は管理側が役割を放棄した場合、この世界の住人だけで現実世界へ戻る時の『最後の切り札』としていた。
現実世界で管理している者達がいつまでも現実世界で生きていられるか。
そうなった場合の手段だ。
この世界の技術が成長すれば、いずれは『超越者』が誕生することになる。
上を見続けた人々は、人間の『能力』が本来、何のために必要だったのかを知ることとなる」
俺達は地面に降りた。
周囲を見渡すと、レンガ造りのアパートが何棟も建ち並んでいる。
人は少ない。
地面で横になりながら新聞を読む者。
主婦が話している姿が見受けられた。
突然、現れた俺達には気にしていないようだ。
ただ、子供達は飛んできた俺達を見て、目を丸くしていた。
「そこのアパートに君の友達はいる」
アイドは一棟を指差した。
「お前はどうする」
「ここで待っててもいいけど………
一緒に行こうか」
「そうしてくれるとありがたい」
俺達は相棒の住むアパートへ向かいながら、話をした。
「この世界のバランスは『勉学』と『才能』で成り立っている。
だが、『ドライブシステム』が世界に浸透すると、社会システムが変わる恐れがある。
それは独裁政治が民主政治になるように………」
「それは人間の持つ『才能』の価値がなくなるから………」
アイドが言うと、急に飛ぶ方向が変わった。
目的地に着くからだろう。
「ああ。
それは『勉学』を進めようとする者にとっては良いことのように思えるだろう。
だが、実際は逆だ。
この世界では使用できても、現実世界では存在しない技術となる。
つまり、使えない技術に頼ることなる」
「それは『才能』も同じじゃないか」
「いいや。『才能』は管理側が役割を放棄した場合、この世界の住人だけで現実世界へ戻る時の『最後の切り札』としていた。
現実世界で管理している者達がいつまでも現実世界で生きていられるか。
そうなった場合の手段だ。
この世界の技術が成長すれば、いずれは『超越者』が誕生することになる。
上を見続けた人々は、人間の『能力』が本来、何のために必要だったのかを知ることとなる」
俺達は地面に降りた。
周囲を見渡すと、レンガ造りのアパートが何棟も建ち並んでいる。
人は少ない。
地面で横になりながら新聞を読む者。
主婦が話している姿が見受けられた。
突然、現れた俺達には気にしていないようだ。
ただ、子供達は飛んできた俺達を見て、目を丸くしていた。
「そこのアパートに君の友達はいる」
アイドは一棟を指差した。
「お前はどうする」
「ここで待っててもいいけど………
一緒に行こうか」
「そうしてくれるとありがたい」
俺達は相棒の住むアパートへ向かいながら、話をした。