裏切りの少年
「同時に管理部で監視している『W』の者達は仲間同士での通信を止めた。
つまり、解散したと考えられる」


議長が話すと、一人の男が手を挙げた。


「何だ」


議長を男に問いただした。


「それでは、我々はなぜここに呼ばれたのですか」

「おかしいと思わないのか。
まるで意図的に解散しているように見える」

「つまり、『W』は解散していないと………」

「そう考えられる。
私ですら『W』という組織がどれほどの規模かを把握していない。
だが、辻本ユウジと密接な関係とされる者達は『W』に所属していると考えている」


男は席に座った。


「つまり、組織の問題は解決していない。
我々は『W』をどう対処すればいいだろうか」


議長が問うが、誰も答えない。

俺は手を挙げた。

議長は頷いた。


「私は『W』を監視すべきだと考えます。
議長の仰せられたことが正しいなら、再び『W』は集結する。
そのときに我々は内部に潜入して情報を集めるべきだと考えます」

「それまで組織は『大きな爆弾を抱えていろ』というわけだな」


議長は俺に聞いた。


「このままでは、『叩いては逃げられる』繰り返しが起きます。
我々は『W』の情報を集め、殲滅すべきです」


議長は目を閉じた。

考えているのだろう。


「議長………」


中川は議長に聞いた。


「よかろう。君の意見を承認しよう」


議長は中川の方を見た。

中川は議会終了を参加者に告げた。
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