裏切りの少年

10. 秘書

―――議会終了後

俺達は控室に戻った。

俺は用事が済み、『G』本部にいる理由もなくなり、帰ろうとしたとき、先程の案内人が現れた。

案内人は議長が呼んでいると話すので俺達は仕方なく、議長のいる部屋へ向かった。


トントン………


相棒が議長の部屋をノックすると、扉が開いた。

開けたのは議会で議長の補佐を務めた中川だった。

部屋には議長と中川しかいない。

俺達は部屋に入った。


「議長、御呼びでしょうか」


相棒は議長に尋ねた。議長は頷いた。

俺達は議長の前まで向かった。


「ウルフ、ホーク。
先程の議会では見事だった」


議長は俺達に言った。


「ありがとうございます」


相棒はお礼を言った。


「両名はこれより、暫しの休養を与える。
以上だ」


議長は俺達に今後の予定を言った。

扉の開く音が聞こえた。

相棒は一礼して扉の方へ向かったが、俺は動かなかった。


「どうした。ウルフ」


議長が尋ねた。


「議長。
差し支えなければ、辻本ユウジの秘書の報告書を私に見せて頂けないでしょうか」


俺は議会のことを議長に聞いた。

議長はしばらく考えてから、引き出しを開け、書類を出した。

議長は書類を俺に渡した。


「拝見しても宜しいでしょうか」


俺が尋ねると、議長は頷いた。


俺は書類を見た。

＜報告書＞（要約）
『ヘブン』国内に滞在する辻本ユウジの秘書『三上ナオミ』の監視に関する報告書。
開催される議会後、『三上ナオミ』を捕獲する任務。
着任者：議長隠密部隊『ジョーカー』『イーグル』
監視時から『三上ナオミ』は目立つ様子はない。
住んでいるマンションに一人で滞在。
外出は行っていない。
夜中に銃声音が鳴り、マンションを見ると、『三上ナオミ』が部屋で倒れていた。
我々は『三上ナオミ』の死亡を確認し、任務を遂行しました。


俺は資料を読み、議長に資料を返した。


「何か、不明な点はあるか」


議長が聞いてきた。


「いえ、特にございません」


俺は答えた。

俺は一礼して相棒と一緒に部屋を出た。