裏切りの少年
その間に相棒に連絡を入れた。


「ウルフよりイーグルへ。標的を捕獲した」

『………了解』


西条がうつ伏せになると、持ってきたリュックから紐を取り出し、両腕を縛った。

そして、ガムテープで口を閉ざした。


「これから、移動する。逃げようとするなよ。
変な行動をしない限り、打たない。
だが、少しでも変な行動をしたら………
わかるな」

「ん――、ん―」


西条は返事をした。


「ウルフよりイーグルへ。
作戦を第二段階に移行する」

『………了解』


俺達はマンションの下に用意した車に移動した。




俺が西条を連れてマンションの玄関前に移動すると、車が一台停まっていた。

俺は後部座席の扉を開け、西条を中に乗せた。

そして、俺も乗った。

扉を閉めると、相棒が車を出した。

標的を拉致して、目的地の空港に送るまでが俺達の任務だ。

しばらく、俺は西条の様子を眺めていると、西条が騒ぎ出した。


「ん―――……ん―――……」


俺はうるさいと思い、西条の口を覆ったガムテープを取った。


「なんだ」

「僕をどうする気だ」

「知るか」


俺はまた西条の口を閉ざそうとした。


「待ってくれ。
静かにしているから………
それに息が苦しい」

「なら、そうしていろ」


俺は面倒になり、そのままの状態にした。


「一つだけ聞かせてくれないか」


西条が聞いてきた。


「俺を連れ去る理由を教えてくれ」

「それは俺にも聞きたい」

「会社の経営で違法を起こした記憶がない。
それに拉致をされる覚えもない」


俺はため息をした。


「何の会社だ」


俺は時間潰しに尋ねた。


「ゲーム会社だよ。
E社って言えば分かるでしょ」

「知らないな」


俺はゲームなんてやらない。

それにゲーム会社なんて知らない。


「そうか。
運転手の方は知ってるでしょ」


西条は調子に乗り出した。

面倒になりそうだが、暇つぶしには丁度いいだろう。
< 46 / 243 >

この作品をシェア

pagetop