裏切りの少年
俺が今までの情報をまとめた時、急に閃いた。

俺はなぜ、この世界に居続けているのだろうと………

それはこの世界に来てから700年経つが、忘れていたことだった。

時を重ねるごとに、この生活が当たり前のことだと思えた。

今まで、頭に引っ掛かる『何か』とは、この世界が『偽者の世界』だったことだ。

この世界の誕生や構成などはわかっている。

だが、時が重ねるごとに『本当の世界』だと感じていた。

700年前のことは全て幻であり、俺は『本当の世界』に来たのだと思っていた。




俺は突然、笑いだした。

バカバカしく思えたからだ。

俺は知らないうちに、この世界の『ヒーロー』を演じようとしていたんだ。

『世界の真実』を知り、汚い仕事をしながら『世界を守ろう』としていた。


「………そういうことか」


俺は頭を掻きながら、独り言を言った。

俺は………いいや、俺達は長年の活動で感覚が麻痺していたんだ。

世界の『神』になったつもりでいた。

だが、100年前に誕生した『W』の存在で世界は狂い始めた。

『Infinite Information』の存在や『真実を伝えるゲーム』の情報………

全ては世界へのメッセージだったんだ。


『あなたは偽りの世界を生きている』


俺はまだ欠片を重ねたにすぎない状態だ。

きっと、何者かが用意したピースを集めることでこのメッセージを伝えるのだろう。

だが、答えはわかった。

最終的には『世界からの出方』だ。
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