裏切りの少年
19. 寄与
―――64年前
俺は『ヘブン』国内で政治家の秘書を職にしていた。

政治家の名前は『五十嵐シロウ』

彼とは13年前に出会った。

俺が再び記憶を取り戻してから何をすべきかを考えた。

『G』からの情報と資金は無くなり、追われる立場になった。

つまり、今の俺には『力』がない。

ある日、俺は自宅の近所でチラシを配っている若い政治家と出会った。

それが『五十嵐シロウ』だ。

若手であり、まだ20代の男だ。

負け戦だと誰が見ても分かる。

それでも必死にチラシを配り続け、握手を求める姿を見て、俺は彼に近づいた。


「あなたの手伝いがしたい」


その一言で彼と関わりを持つことになった。

その後、俺は『五十嵐シロウ』に様々な提案を行い、次第に指揮するようになった。

最初は俺のことを若造と考えたのだろう。

意見の食い違いが何度も会った。

だが、俺は曲げずに彼を支えた。

結果、新人の男が選挙に当選した。

その後、『五十嵐シロウ』は俺を雇った。




俺にとっては簡単な事だった。

俺が隠密部隊として現場で仕事をしたとき戦場には波があることを学んだ。

その波は世界にもある。

また、国にもあり選挙にもある。

世界の流れなど船の操縦と同じだ。

舵さえ間違えなければ簡単に風に乗れる。

なぜ、その風を見極めることが出来たのか。

それは世界が『G』の操作しやすい世界になっているからだ。

一般には知られていないが、各国の政治家の中に『G』所属の者がいる。

彼らは絶対的な派閥を持ち、政治に大きな力を発揮していた。

だが、数は全体の1割にも満たない。

そのため、『G』と同じ思想の持ち主を求めている。

俺はその考えを利用した。

『G』と同じ世界を造るふりをしたのだ。

だが、この計画には問題があった。それは『五十嵐シロウ』だ。

彼が政治家になる夢と風の流れは真逆だった。俺は説得した。

更に若手で経験も功績もない者が出馬したところで一般人は相手にしない。

俺は勝手に手伝ってくれる『G』を待った。

次第に頼んでもいないのに、有名な議員が応援を行い、知名度が右肩上がりであがり、見事当選した。
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