裏切りの少年
「で、どこまで進んだんだ。
手短に報告してくれ」


広川は笑うのを止めた。


「プログラムを解析して、4つ目のプログラムの法則を見つけました。
………それと動画らしい物を発見しました。
でも、ゲームソフトを2本ダメにしましたけど………」

「動画だと」


俺は大声で聞きなおした。


「………驚かさないでくださいよ。
でも一部ですよ。たった5秒程です」

「内容は………」


俺の手は好奇心で震えている。


「男がカメラに映っているだけです。
話し始めようとしたところで終わります」

「今から、そっちに行ってもいいか」

「………何時頃来ますか」


俺は腕時計を見た。

時計の針は深夜2時13分だった。

H社までは車を飛ばして40分。


「3時だ」


俺は余裕時間を入れて伝えた。


「わかりました。お待ちしてます」


俺は通信機の電源を切り、急いでH社に向かった。




―――H社
俺はH社の前に車を置き、会社に向かった。会社の扉を開けて受付を見たが、誰もいない。

俺は周囲を見ると、左横に置かれたソファーに男が一人、座っている。
俺は男に近づくと、その男は広川であり、熟睡している。

疲れているのだろう。

あるいは待たせ過ぎたのかもしれない。


「おい」


俺は広川の肩を叩いた。


「………ん、………来ましたか」


彼は寝ぼけていた。


「すまないな。こんな夜遅くに………」


「いいんです。
お客さんの要望に可能な限り受け持つのが私の会社ですから………」


広川はソファーから立ち上がった。


「ちょっと、待ってて下さい。
今、持ってきます」


そういうと、奥の部屋に入って行った。

会社のセキュリティーなのだろう。他の依頼など、お客のプライバシーを漏洩しないように仕事場には入れないのが、この会社の特徴の一つだ。

俺も広川とは11年の付き合いだが、仕事場を見たことは一度もない。

俺はいつも通りに待った。
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