裏切りの少年
23. 能力
―――数時間後
俺が車内で睡眠を取っていると、五十嵐が戻ってきた。

肩を叩かれ、起こされた。


「ヒサ君」


俺は叩かれる方を見ると五十嵐が隣に座っていた。


「出してくれ」


五十嵐は運転手に車を出すように指示を出した。

しばらく、俺は車の外を眺めていた。

すると、五十嵐が俺に話しかけて来た。


「先程の面談で、ヒサ君の提案通りに意志表示をしてきた」


五十嵐は浮かない顔で話した。


「そうですか。
早川さんはなんて仰ってましたか」


俺は興味のない素振りで聞いた。


「私の話を聞いてくれた。
だが、途中から否定され続けたよ」

「否定………ですか」

「ふん―――………
早川さんは『能力開発』に対する意識が足りないようだ」

「気にしないでください。
考えは人それぞれです。
早川さんが否定しても、先生の支援者や無能者の方々は必ず先生を支持します」


五十嵐は少し顔がほぐれた。


「これからですよ。
今はまだ、否定され続けても、いずれ早川さんも先生の意見を受け入れる時が来ます。
それまでの辛抱です」

「そうだな」


話を終ると、五十嵐は外を眺め始めた。

俺は目を瞑った。
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