裏切りの少年
パンサーが俺のいる洗面所を通った。

俺には気付いていないようだ。

パンサーが通り終わると俺は立ち上がり、奴の後ろに移動した。

パンサーが気付いた時には遅い。

俺は持っていた花瓶でパンサーの頭を叩いた。

花瓶は割れ、パンサーは倒れた。

しばらく、様子を見てから通信機で警察を呼ぼうとした。

これは計画通りだ。

『目的』が来ていないなら、こいつに用は無い。

さっさと警察沙汰にして、残りの隠密部隊を追い払いたい。

俺が連絡すると、すぐ警察に連絡ができた。


「―――こちら………」


警察に連絡が取れた。

俺が警察に状況を説明して、すぐに助けを呼ぼうとしたが………




突然、俺の耳に奇妙な音が聞こえた。それは次第に大きくなっていく。

俺はパンサーを見ると、奴には意識があった。

さっきの攻撃で倒れなかったのだ。

『タフな奴だ』俺は面倒になった。

俺の予定ではパンサーとの遭遇は偶然出会い、仕方がなく倒すことにしていた。

だが、奴は意識があり、『能力』で対抗しようとしている。

俺が考えていると、パンサーは起きあがった。

この『耳に響く音』は奴の能力だろう。


『間接系』………
あるいは『空間系』か。


次第に身体が痺れてくる。

身体が奴の能力に拒否反応を起こしている現状だろう。

パンサーは床に落ちた銃を取ろうとしている。

その間、俺は奴が出す音にイライラを感じた。

俺は右手で拳を作った。

パンサーは拾った銃を持ち、銃口を俺の方に向けようとしている。


「うるせ―――」


苛立ちを拳に込めて、パンサーの胸を殴った。

その瞬間、パンサーは勢いよく10メートルほどあるベランダまで吹き飛んだ。

窓ガラスが割れ、ベランダの壁が崩れ、パンサーは地面に落下した。
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