独占★Honey
辰くんが、なんだか傷ついたような
そんな辛い表情をして立っていた。
なんで、そんな顔するの?
そんな顔しないでよ・・・・・。
期待させるような、顔。
「ボールが少ないから
空気入ったやつ片っ端から持って来い
って言われて・・・・。」
「あ~、そ、そうなんだ。
そっちにあるのは、全部空気入ってるボールだから
適当に持って行っていいよ。」
気まずそうにあははと苦笑いしてる先輩。
わたしは、なにも言わず
極力辰くんの方も見ないようにしていた。
「ありがとうございます。」
辰くんも、とくになにも言わずもてるだけのボールを持って戻っていった。
「なんか、ごめんね。
タイミング悪かったね。」
「いえ!!
先輩のせいじゃないんです。
わたしの、問題なんです。」
わたしはそういいながら、また作業を再開した。
ときどき先輩の視線を感じたけど
気づかないふりをした。