君との終わりに歌う唄
01.今と過去
「私はあなたを愛したことを後悔なんてしてないわ」
見慣れたその文字は、彼女の好きだった青色のペンで綴られていた。
冷たい風が頬を撫でる。
ベランダから見える町並みが少しずつ真っ白に染まっていく。
----あれからもう、5年経ったよ。
抱えたぬくもりを確かめるように両手でぎゅっと抱き締める。
あの日、あたしたちが泣きながらいつまでも眺めていた文字は真っ直ぐで、彼女らしい綺麗な文字だった。