冬恋 ~フユコイ~
「暖かくなったら・・・顔を出すよ」

「本当か?」

「うん、本当」

本当は・・・そんな事思ってもいないけれど。
せっかく電話をくれた父さんに・・・冷たくなんて出来ないから。

「誰か、いい人は見つかったのか?」

父親なりの心配?
でも、その質問は今の私には一番キツイ。
だけど・・・
余計な心配はさせたくないから無理に笑ってみせた。

「いないよ。 今年は仕事を頑張るんだぁ。
春には新入社員が入って来て、私も先輩になるからね。
後輩に笑われないように頑張らないと!」

「そうか、そりゃそうだな。
でも、もし・・・いい人が出来たなら、遠慮せずに連れて来なさい。
お前は私の大事な一人娘だから」

「・・・分かった」
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