冬恋 ~フユコイ~
ふと現実に戻って、悲しい気持ちになってしまう。

今から、あの暗くて寒い部屋に帰るんだ。
誰も待つ事のない古びたアパート。
一人暮らしだから当然だけど・・・。

寂しい――
こんなに一人が寂しいなんて。

学生時代からずっと一人暮らしだったのに。
家族と上手く行かなくて、泣いた日も多かった。
それでも、ここまで落ち込んだ事はなかった。

騙されたから?
裏切られたから?

ううん、違う。
陽介の事なんて、今は全く考えてない自分。

こんなにも悲しいのは・・・
きっと浩輔さんとお別れしないといけないからだ。
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