私、もうちょっとで30代です。でもピンクなんです。

穏やかな陽射しのなか、散歩する私。
小鳥のさえずりに上を見ると、きらきらと輝く木々の葉。
眩しさに下を見ると、とてとてと歩く愛犬。
笑い声に横を見ると、優しい表情のイケメン。
あぁ、楽園だ！
｢突撃ー！｣
バフ！
突然、真っ暗になり、イケメンと愛犬がいなくなった。息が苦しい！
｢攻撃開始！｣
ポコポコ。
叩かれてる！
ガバッ。
｢おはよう！ピンク。早く朝ご飯を食べて、出撃するぞ！｣
ぬいぐるみによって、私は楽園から追放された。
｢もう、せっかく良い夢だったのに。今日は休日なんだから、二度寝するよ。｣私はぬいぐるみを顔から離し、楽園に戻ろうとした。｢ダメー！地球を救わなくては！｣
････。
私は尚も、楽園に戻ろうとした。
｢イケメンたちが待ってるよ。ピンク。｣
ガバッ！
｢本物のイケメン？｣
｢昨日、作戦を話したでしょ。悪の組織を叩くって。｣
やはり冗談か、楽園にさっさと帰還しようとすると、｢イケメン｣
ピタ！
私は楽園の入り口手前で、止まり、振り返った。
｢イケメンに会いたいでしょ。イケメン達は、ピンクを待ってるよ。さぁ、イケメンに会いに行こう！｣
私はぬいぐるみの"イケメン"という催眠術にかかり、家をあとにした。