悔やみ嘆く思い
第一章
最後の日になるなんて
「いーちにー」
「「「いっち、にっ、さん、しっ」」」
キャプテンの声の後に続いて俺たちの声が暗い4月の運動場に響く。
この高校に入って二年目の春がやってきた。
ようやく学校に慣れて部活の野球部でもレギュラーになることができた。
列の一番後ろにはこの前入学してきた一年生が一生懸命走っている。
甲子園に行けるほどの実力はない学校だが、地元ではまあまあってところ。
そんな高校にこの野球バカの俺、嶋谷 翔太(シマタニ ショウタ)がどうして入学したのか。
理由は隣で走っている俺の親友、村岡 実花(ムラオカ ミカ)が入学すると言ったから。
実花は名前通り女。
だけどそのへんのような集団でかたまらないとダメのようなそんなやつらとは違う。
男よりも男らしい女。
男の俺でさえかっこいいと思うような女だ。
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