悔やみ嘆く思い

ガチャ

「翔ちゃん」おばちゃんは涙目だ。

「ど、どうした?こんな夜中に」俺はとりあえず家に招き入れる。

「実花っ…実花、知らない?」おばちゃんは俺の腕を掴んで揺すってきた。

「ちょ、落ち着けよ」おばちゃんの大きな声を聞いておばあちゃんと兄貴も玄関にやってきた。

「夕紀(ゆき)さん、どうしたの」夕紀さんとは実花のおばちゃんの名前だ。

「実花が、帰ってこない。電話にもでないのっ!」
「えっ、まだ実花帰ってないの?」
俺が確認するように聞くと、おばちゃんは頷いた。

「翔ちゃんと一緒なら絶対電話くれるし、おばあちゃんちに行くにも平日だし…」
「おい、翔太電話してみろ」兄貴に言われる。

「あ、うん」

プルプルプル

ただいま電話にでることができません。

電話越しにアナウンスの声が聞こえる。確かに実花は絶対、親を心配かけないタイプだ。

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