悔やみ嘆く思い
「それから2年後に母は乳ガンで亡くなりました。」
俺もいつの間に自分の話に入りこんでいた。
山岡さんは返事はせず黙ってずっと聞いていた。
「実花はいつものように普通に接してくれました。6歳なりの気を使ってくれました」
いつもあいつはそばにいてくれた。
゙翔太は1人じゃない。俺らは家族みたいなもんだよ゙
いつもそう言ってくれた。
「そうか」
山岡さんはその一言だけ言ってトイレに行った。
チュッチュ
鳥の鳴き声が聞こえる。
そして窓ガラスからわずかな光が入る。
「んー」
「起きたか?」
横から兄貴の声が聞こえる。
「兄貴…実花は?」
兄貴は首を横に振る。
「お前は学校に行け。俺が家に送る」頷くことしかできなかった。
俺には何も手掛かりがない。
電話をしてもでない。
俺は何もできないんだ。
無の状態で俺は学校に向かった。