悔やみ嘆く思い

いつの間にか俺は野球部のベンチに座っていた。同学年の奴らも俺の姿を見てベンチまで走ってきてくれた。

みんな俺を気遣って実花の話は一切してこなかった。

「明日から部活だけでもでてこい。ゆっくりでいいから。とにかくグローブを掴め。お前には野球が一番だろ?」みんなの温かさが俺の心を癒してくれた。

マネジャー3人は俺と榎ちゃんが話す雰囲気だったからベンチから離れて行った。

「あいつら気遣ったな」榎ちゃんが笑顔で話す。
「そうですね」

「なあ、嶋谷?」榎ちゃんは俺の方を見る。
「はい」俺は部員が野球しているグランドを見つめたまま。

「頼むから自殺しようとか考えるなよ。俺が言いたいのはそれだけだ」
「榎ちゃん……俺は死なねぇーよ。もう死のうとか思わない。実花の分まで思いきり生きて実花が居たことをずっと覚えてる」

榎ちゃんはグランドの方に向きを変え「俺も忘れねーよ」そう言った。


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