悔やみ嘆く思い
電車の中で何度も考えていた。実花と居たその人のことを。
その人が俺に一番、関わっていたなんてまだこのときは知らなかった。

「翔太っ!!!」後ろから大きな声が聞こえてくる。
振り向くと山岡さんの姿。

「山岡さん!!」俺はその場に立ち止まり山岡さんが自分のとこまで来るのを待った。
「お前、どこ行ってんだよ」息を切らしながら山岡さんは話してきた。

「どこって…実花のおばあちゃん家…」なぜか怒られるような気がして思わず体を縮めるように答えた。
「何しに行ったんだよ?!」やっぱり怒鳴ってくる山岡さん。
どうして怒られてるのかイマイチ分からないけど一応謝った。
「すみません…俺、犯人許せなくて…犯人を捕まえたい」
「バカ野郎!!!!」
そばにあった壁に押し付けられる自分。

「や、山岡さん!」山岡さんの部下らしき人が俺から山岡さんを離そうと必死になっている。
「お前、一人で動くな。お前が犯人を恨んでる気持ちは痛いほど分かる。けどな、お前みたいな素人に何ができる!!!何もできないだろ!違うか!?お前に何かあったらどうする!?」
山岡さんの言ってることは間違っていない。

だけど俺の気持ちが分かる?!
分かるわけなんかない。一番の親友を亡くした気持ちが山岡さんに分かるはずなんてないだろ?

「俺の気持ちなんて分かる分けないだろ?!山岡さんは刑事なんだから!!」

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