僕の見つめる世界で。
入口を抜けて、入ってすぐに
売店があった。
小森はキリンのぬいぐるみを
買って、名前を付ける。
「“みー子”今日は小野くんが私を連れてきてくれたの」
満面の笑みで“みー子”に
話し掛ける小森と僕は、
園内をゆっくりと見て回った。
「あ!キリン!小野くん!写真!」
いつものように小森のペースに乗せられながら、僕はシャッターを切った。
小森は写真を撮った後も、
キリンから離れようとしなかった。
「どうかしたの?」
「せっかく会えたから……ずっと会いたかったの」
そう彼女はキリンを囲う柵に
身を乗り出して、見つめていた。
「わかった。気が済むまでいいよ」
僕は、彼女の隣でキリンを見た。