僕の見つめる世界で。
「いーの!センセには関係ないでしょう?」
大きな声でより一層室内を
響かせる女の子の声。
「だから、なんで進学しないんだ」
熱くなっている彼女を少し
落ち着かせようと教師は
小声で冷静に取り繕っている。
「あたし、女優になるの!」
彼女の壮大な言葉に教師の
声はなかった。
「でね、二年くらい行方をくらまして皆とはテレビで会うの」
「それは、大学に行きながらでも大丈夫だろう?」
上手く宥めようとする教師の
声に呆れているため息が混じっている。
「それは嫌っ!じゃ、これからバイトだから。ばいばい!センセ」
そう大きな響く声とバタバタとする隣の部屋から彼女は嵐の
ように去っていった。
すると、疲れきっている教師の顔が隣の壁から僕を覗いた。