僕の見つめる世界で。
彼女は涙を流した。
声も出さないくらい静かに。
僕はその光景があまりにも
美しいと感じた。
「……おのくん、私っ…!」
何か、強い意思があるような。そんな瞳を彼女は持っていた。
「……つ、きあえ…ません…」
何も言えずに彼女を見つめる
僕に、小森は続けて言った。
「…私、生まれつき心臓が弱くて激しい運動とか昔からできなかったの。最近になって、すぐ息切れとかするようになって、調べたら……
私、いつ死んでもおかしくない心臓の状態だったの。
心臓の機能がだんだん低下していってたんだって。
……小野くん、こんな私ではダメだよ。貴方の幸せを奪ってしまうの…」
僕は、いつの間にか彼女を
抱きしめていた。