君は僕の…僕は君の…



「…君が悔しがる気持ちも、分かる…


里親が決まったんだろ…



…でも頼む!頼むから遥には、昔の事……思い出させないでやってくれ!




頼む!!」





なりふり構わないといった様子で、

敏也は、自分の生徒である秋に土下座をした。








そんな過剰ともいえる敏哉の態度に、

秋は一瞬、戸惑いを隠せなかった。








「そんなに遥を手放したくないの?


…彼女に嘘の記憶を植え付けてまで…」








「……」








「そんな事しても、

遥は渡さないよ…

それに、








遥は昔の記憶を少しずつ、思い出してきてる。」








「えっっ?!」







床につきそうなくらい下げていた頭を、
敏哉は勢い良くあげた。








「…なんだって?」







「僕といると、頭が痛くなるらしい。



それと同時に記憶が蘇っているようだった。」








敏哉は信じらんないといった表情で秋を見上げる。







「それを証拠に、
遥は昨日、


昔の呼び方で僕の名前を呼んだんだ。」







< 80 / 132 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop