君は僕の…僕は君の…
-秋side-
教室に着くと、
もう半分くらいの生徒が教室の中にいた。
秋もその中に混ざる。
遥の姿を見つけ、秋は複雑な気持ちになった。
…一体、僕があの施設を出てから
遥に何があったんだ…
6列斜め先にいる遥の横顔を遠くから見つめる。
…確かに…あの施設での記憶なんて、
忘れてしまいたい。
僕でもそう思う。
それ程、
あの施設での暮らしは厳しく、辛いものだった。
…でも、だからこそ、
二人の絆は深くなったし、お互いをなくてはならない存在として
惹かれ合っていた。
…上野養護施設は、
親がいない子供達を集め、育てる家の役目をする施設だった。
僕と遥は、
そこで出会ったんだ…
秋は昔の事を思い出していた。