君は僕の…僕は君の…
それから女は、
気が狂ったように遥を殴りつけ、
僕はそんな遥を庇い、盾になるしかなかった。
…今でも忘れない…
自分の無力さ…
そして二人共、
物置に閉じ込められた。
遥はぼんぼんに腫れ上がった僕の顔を両手で包み込んだ。
「秋ちゃん…
ごめんね…」
泣きじゃくりながら、遥は言った。
「なんで遥が謝るんだよ。」
「…だって…い…いつも…私を庇ってくれてる…でしょ………
いつも…
お礼……言いたかった…
だから……今日は……私が…秋ちゃんを守りたかった……の……
…なのに…」
僕は遥の事を、
本当に愛おしく思った。
「…そんな事…
遥は気にしないで。」
「…でも」
「じゃあ…
…笑って。」
「え?」
「僕、遥の笑った顔、まだ見た事ない。」
そう言って、
僕は痛いのを我慢して、無理やり笑顔を作ってみせた。
「秋ちゃん…」
そして、
遥はゆっくり 僕に笑って見せた。
これが初めて見る遥の笑顔だった。