銀髪の王子と黒髪の王女
どうやら男性は王子たちとの会話を全部、聞いていたようです。
魔法使いは納得したように言いました。
「ああ!先程の方たちに言ったことですか!」
男性は「そうだ」と言わんばかりに頷きました。
王子と王女は二人の話を黙って、聞いていました。
魔法使いは不思議そうに言いました。
「でも変ですね~。王子様、私があなたに依頼された内容は『この国の王子に魔法をかけること』であって、『永遠に解くな』という内容は含まれていなかったかと・・・」

男性は少しずつ眉間にしわを寄せてきました。
どうやら魔法使いの言葉一つ一つに対して、怒りがこみ上げてくるようです。
魔法使いはさらに男性に言いました。
「それにあなたの依頼は完了していて、見返りも頂きました。もうあなたに従う理由はありませんし、あなたに義理立てて魔法を解かない理由も無いかと」
そう言われた途端、男性は言いました。
「ふざけるな!確かに依頼は完了した。だが、私はあの王子に『魔法をかけられたまま』でいて貰いたいのだ!それを貴様が解いてしまっては高い金を払った意味が無くなる。今すぐ撤回しろ!魔法は解くな!!」
男性は殺気の篭った眼で睨みつけながら、魔法使いにボーガンを向けました。
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