バレンタイン事件簿
「佐和ちゃん先輩も何か言えば良いのに。もう渡したんですよね?」

「うん。2人ともとっても喜んでくれたよ! 里緒ちゃんのおかげかな」


そう言って、佐和はグッと親指を立てて見せた。

里緒はそれを見て今度は佐和をうらやんだ。自分はチョコを捨てられたからである。

しかしそれでもまた下駄箱に放り込んで置いてはいたが。


「私も佐和ちゃん先輩も渡したんだから。さっちゃんも早く渡しちゃいなよ。榊君待っていると思うよ?」

「え!? あ、はい……放課後に…………」


咲にとって、交際相手にチョコを渡すのはこれが初めての事。

尋常ではない緊張で、彼女の心は押しつぶされてしまいそうであった。
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