バレンタイン事件簿
勇気を振り絞りきった旭の頭は真っ白だった。
呆然としていた沢谷もようやく状況を掴み、ふっと優しく笑う。
「ありがとう。嬉しいよ」
その言葉に旭は同じように安堵し、笑みを浮かべたのも束の間。
「いやー、この時期になると“チョコをくれなきゃ成仏しない”って幽霊が湧いてなあ……
丁度チョコを切らして……って、遠山!?」
旭の笑みは一瞬の内にして消え去り、沢谷の言葉を最後まで聞かずに部屋から飛び出し、自室へと走り去って行った。
その目にはうっすらと涙のようなものを浮かべて。
数日後、沢谷の部屋から泣きながら飛び出す旭を目撃した生徒により、噂は更に酷くなっていったと言う。
呆然としていた沢谷もようやく状況を掴み、ふっと優しく笑う。
「ありがとう。嬉しいよ」
その言葉に旭は同じように安堵し、笑みを浮かべたのも束の間。
「いやー、この時期になると“チョコをくれなきゃ成仏しない”って幽霊が湧いてなあ……
丁度チョコを切らして……って、遠山!?」
旭の笑みは一瞬の内にして消え去り、沢谷の言葉を最後まで聞かずに部屋から飛び出し、自室へと走り去って行った。
その目にはうっすらと涙のようなものを浮かべて。
数日後、沢谷の部屋から泣きながら飛び出す旭を目撃した生徒により、噂は更に酷くなっていったと言う。