手で言葉を 〈貴方に伝えたいことがある〉
「それじゃあ、頑張って。後で手伝いに来てあげるからさ」
そう言い残して萩くんは印刷室から出て行ってしまった。
そ、そんなぁ…。
本当に、今日帰れるのかな。
テーブルの上に乗っている物を見て溜め息をついた。
…しかたない、始めますか。
私はさっそく作業に取りかかった。
印刷室の中には、雨の降る音、機械の音、紙が擦れる音、そしてホッチキスの音だけがしていた。
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