手で言葉を 〈貴方に伝えたいことがある〉
「でも、ちゃんとゴム付きの帽子とか被ってくれば良かったよ。ダサくてもいいからさぁ。せっかく今日、ストレートアイロンかけてきたのなぁ…」
髪を手で梳かしてみる。
「そう言わないで。カッパ着てこなかったら全身びしょびしょだったのよ?髪だけで良かったじゃない」
そうなんだよねー。
校庭で部活とかやっている人達はもっと濡れているわけで。
そう思うと、自分なんて濡れてない方なんだと思う。
「まぁ、いっか。どーせアイロンしてもしなくてもあんまり変わらないし」
「いいわよねー、もともと髪がストレートな人は」
口を尖らせる池ちゃん。
私は見たことないけれど結構癖っ毛らしい…。
それから少したわいのない話をしていた。
「ねぇ、そういえば柚ちゃん何で今日学校になんか来たの?もしかして、何かの部活にでも入った??」
「いやいや、部活になんか入ってないよ。これからも入る気なんかないし。…今日来たのは呼び出しをくらったから」
「誰に?」
笑いを含んだ顔で聞いてくる。
「…分ってるくせにぃ」
私はちょっと頬を膨らませる。