守護まにゅある!
検査はあっという間に終わった。

結果はまた後日、ということで晴れて退院した雅之は軽く伸びをして、日常品の入ったスポーツバッグを片手に歩きだした。

一つ、あるとすれば。

右手の包帯が未だ取れないということだ。

手すりに掴まろうとした時負った傷なのだが、意外と深かったらしい。

・・まぁあと何日かすりゃ治るだろ

そう思いながら右手を眺めるとあることに気付いた。

「・・あれ、この傷」

人差し指にある細い線のような傷。

血が出ていないので気にしていなかったのだが、この傷は階段から落ちる前にルーズリーフで切ってしまった傷のはず。

ならば、もう塞がっていても不思議ではないのだが。

・・・ちょっとくらい仕方ないよな

特に気にすることなく歩き始めてしまったのが間違いだったのか。

後ろから服の裾を何かに掴まれた。

振り返ってみるとそこには黒髪を長く伸ばした女。

顔がまともに見えず、時々髪の隙間から見える血走った目が怖い。

「え、と なんですか・・・?」

やめてくれよ、早く離せよ 気持ち悪いな

あからさまに嫌な顔をすると、女はニタリと口元を歪ませた。

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