怪奇愛好家。

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両親が死んで、
僕は1人残された。


いっそ僕も、とそんな考えが頭をよぎる。


暗い部屋にただ座っていると、
くぅんと、小さな鳴き声が聞こえてきた。

シロだ。


――シロは黒い犬だけれど、
捨てられていた時に、
首に白いリボンをつけていた。

それがとても綺麗に見えて、
だからコイツの名前はシロにしようと決めた。

なんとも単純な理由だ。




シロは僕に近づいてきた。

頭を撫でてやると、
大人しく僕の前に座る。

そのままグシャグシャと
毛並みを乱すように撫で続けていると、
シロは僕の顔を舐めてきた。


……泣いていたのか、僕は。


シロの体を抱き寄せる。

あたたかい。


「大丈夫だよな、お前がいるもんな」


シロは、くぅんとまた小さく鳴いた。

大丈夫だ、僕は1人じゃない。
まだ、生きていける。


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