怪奇愛好家。

 でも、本が閉じられない。
 何故なら面白すぎたから。
 だから、彼はそのまま読み続けました。

 下校を促すアナウンスが流れた時、
 物語は盛り上がっていて、
 彼はそれに気付きませんでした。

 そして日が落ちて暗くなっても、
 まだ本は読み終わらず、
 彼は夢中になったまま。

 彼の座った場所は、
 奥の本棚の影になる所。
 見回りの先生も、彼に気付きません。
 なにせ、彼は本に夢中で
 返事もしないのですから、
 仕方がありません。

 そして、鍵を締められ、
 図書室の扉は閉ざされました。

 それでも彼は読み続けた……。
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