怪奇愛好家。

「そうだ、今日出かけるから。
 多分遅くなると思う」

「あら、彼女でも出来たの?」

母さんが冷やかす。

「だったらいいんですけどね!」

女の子はいるけど、
出かける先は心霊スポットだ。


「でも珍しいな、要が出かけるのは」

「僕だって出かけるぐらいするって」

「でも、いつも夕方には
 家に帰ってただろ?」

……そういえばそうか。




「晩御飯は作っておくから、
 温めて、ちゃんと食べるのよ?」

母さんが言った。

「わかった」

今日も2人で出かけるんだろうか。
いつまで経っても仲が良くて、羨ましい。

……そういえば、姉さんと彼氏さんも
こんな感じで2人でよく出かけてたな……

でも今じゃ、その人の顔も思い出せない。

……どんな人だったっけ?

優しい人だったのは、思い出せるんだけど。


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