怪奇愛好家。


その井戸が常用されなくなったのには、
ある理由があった。


昔々のある年。
井戸の近くは、村だった頃。

その村で、伝染病が流行った。

今ならそれは、治る病気なのだけれど、
治療法も、原因さえも分からない時代。



村人の一人が、
原因は‘水’じゃないかと言った。

みんなが使う、体内に入るもの。
それは水だろう。

だからこんなにも広がるのだと。



でも、どうすればいい?

水は、無ければ生きていけない。
この近くに、他に良い水源は無い。

川はあるけれど、流れが速く、
水深も深くて危険だ。




じゃあ、清めよう。




誰かが言った。

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