怪奇愛好家。


しかし渇きに飢えた一人が、
ついにその液体に口をつけた。

水だ。

これは、水なんだ。

それを聞いたほかの村人も、
井戸から水を汲み始めた。

ああ、水だ。
これは水だ。







「それからあの井戸からは、
 赤い水しか出ないそうだよ。
 何度か災害時に備えて出してみたけど、
 やっぱり赤いそうだって」


「……錆じゃないんですか?」


「そうだろうね。
 ま、それでも消火用には使えるから」

だから今でも残ってるんだろうね。
啓吾さんはそう続けた。


怖い話だけれど、なんだかな。
むしろ村人達はどうなったのかが気になる。

っていうか可哀相な話だ。



「まあそんな感じで、血の公園なんだよ」


そして車が止まった。

どうやら、道の駅に到着したようだ。



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